Markdownそのものに数式の記法はありません。今どきのエディタはそこをLaTeXで補います。数式組版の標準記法で、単純な分数から連立方程式まで、Markdownの文章の中にそのまま書けます。それを組んで見せるのがKaTeXです。このページでは、その書き方と使いどころをまとめます。

まだ基本からという場合は、言語の残りはMarkdownガイドにあります。

文中の式と、独立した式

LaTeXと同じく、2つの形があります。

  • インラインは文の中に収まります。ドル記号1つで挟みます($ … $)。
  • ブロックは独立した行に、中央に置かれます。ドル記号2つで挟みます($$ … $$)。
Markdown
円の面積は $A = \pi r^2$ で、次の積分から導かれます。

$$
A = \int_0^{2\pi} \int_0^{r} \rho \, d\rho \, d\theta
$$
Preview

円の面積は で、次の積分から導かれます。

1つめは文章の流れの中に並び、2つめは大きな式として独立した行になります。

実際に使う記法

LaTeXを全部覚える必要はありません。ふだん書くものは、小さな語彙でほぼ足ります。

やりたいこと書き方
上付きx^2
下付きx_i
分数\frac{a}{b}
平方根\sqrt{x}
ギリシャ文字\alpha\beta\pi
総和\sum_{i=1}^{n}
積分\int_a^b
掛け算の点\cdot
無限大\infty
比較\leq\geq\neq
ベクトル\vec{v}

2文字以上になったら { } でくくってください。x^{10} は x¹⁰ になりますが、x^10 は1だけが上に乗り、0が横に残ります。誰もが一度はやる間違いです。

そのまま使える例

Markdown
オイラーの等式: $e^{i\pi} + 1 = 0$

二次方程式の解の公式:

$$
x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}
$$

総和:

$$
\sum_{i=1}^{n} i = \frac{n(n+1)}{2}
$$
Preview

オイラーの等式:

二次方程式の解の公式:

総和:

どれも、教科書で見るのと同じ形に組まれて出てきます。

なぜKaTeXなのか

数式に対応したMarkdownエディタの多くはKaTeXを使っています。速い数式組版ライブラリで、古い選択肢よりはっきり速く、ほぼ待ち時間なく描画します。出力はどの大きさでも鮮明です。実際に使うと、式を打ち終わった瞬間にはもう表示されている、という感覚になります。

Inkiostroで数式を書く

Macでは、Inkiostroが入力しながらリアルタイムでKaTeXの組版を出します。インラインの $…$ もブロックの $$…$$ も使え、式はすぐプレビューに現れます。さらに大事なのは、書き出しても消えないことです。PDFに変換しても、HTMLでもEPUBでも、組まれた数式はそのまま付いてきます。学生にも研究者にも、技術文書を書く人にも、本気で使える道具になるのはそのためです。

図も要りますか。それならテキストから作る図とフローチャートを見てください。

コツ

  • 指数と添字は中かっこで。1文字を超えたら a_{ij}x^{n+1} のようにくくります。
  • \left(\right) を使うと、分数のような背の高い中身に合わせてかっこが伸びます。
  • 数式の中の特殊文字はバックスラッシュでエスケープします(たとえば \%)。
  • 書きながらプレビューを見る。コマンドを打ち間違えると式が出なくなるので、すぐ気づけます。

よくある質問

標準のMarkdownは数式に対応していますか?

していません。数式の記法は、もとのMarkdownにもCommonMarkにも含まれていません。エディタが拡張として足しているもので、記法はLaTeX、表示はKaTeXかMathJaxが一般的です。InkiostroはMacで標準対応しています。

文中に数式を入れるには?

LaTeXをドル記号1つで挟みます($E = mc^2$ のように)。独立した行に大きく中央寄せで出したいときは、ドル記号2つで挟みます($$ … $$)。

KaTeXとは何ですか?

KaTeXは、多くのMarkdownツールがLaTeXの式を表示するために使っている、速い数式組版ライブラリです。ほとんど待たずに描画すること、そして拡大しても鮮明なことで知られています。

数式はPDFに書き出せますか?

はい。MacのInkiostroでは、LaTeXの式はライブプレビューに表示され、PDF、HTML、EPUBに書き出しても保たれます。最終的な文書でも、画面で見たとおりの見た目になります。

数式を書くのにLaTeXを全部覚える必要がありますか?

いりません。分数、指数、根号、ギリシャ文字、総和。この程度でふだんの式はだいたい書けます。込み入った記法は、必要になったときに覚えれば十分です。